「売上はそれなりにあるのに、手元に残るお金が少ない」──外食業の経営者からよく聞かれる悩みの一つです。その背景にあるのが、食材費(フードコスト)と人件費(レイバーコスト)の合計を指すFLコストの問題です。
外食業界では、FLコストを売上の55〜60%以内に抑えることが収益確保の目安とされています。しかしこの水準を超えているケースは少なくなく、特に食材費(フードコスト)の割合が高い店舗では、仕入れの見直しによる改善余地が大きいことがあります。
本記事では、FLコストの構造を整理したうえで、仕入れ面からフードコストを下げるための5ステップを解説します。
FLコストとは何か
FLコストは以下の2つの合計です。
| 項目 | 内容 | 目安(売上比) |
|---|---|---|
| F(Food Cost):食材費 | 料理・ドリンクに使う食材・飲料の原価 | 28〜35% |
| L(Labor Cost):人件費 | 正社員・アルバイトへの給与・社保等の合計 | 25〜30% |
| FLコスト合計 | 上記2つの合計 | 55〜60%以内が目安 |
FLコストが高くなる主な原因は、食材費の上昇・人件費の増加・発注ロスの3つです。このうち、仕入れの見直しで対応できるのは食材費と発注ロスです。
ステップ1:現状のフードコスト率を「品目別」に把握する
改善の第一歩は、全体の原価率を「なんとなく把握している」状態から、品目別・カテゴリ別の数字として把握する状態に移行することです。
仕入れ金額と売上を全体でしか見ていないと、どの食材が原価を押し上げているのかが分かりません。肉類・魚介類・野菜・乳製品・ドリンクといったカテゴリごとに分解するだけでも、コスト構造が見えやすくなります。
レジシステムや原価管理ソフトを活用して、売上構成とあわせて品目別のフードコストを月次で確認できる仕組みを作ると、改善の効果測定もしやすくなります。
ステップ2:発注ロス(廃棄・過剰在庫)を数値で捉える
フードコストを押し上げる隠れた要因が、廃棄ロスと過剰在庫です。食材を使いきれずに廃棄してしまったり、在庫が溜まって鮮度が落ちて使えなくなったりするケースは、仕入れ単価が変わらなくても実質的なコストを高めます。
| ロスの種類 | 主な原因 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 廃棄ロス | 仕入れ量が多すぎる、メニューの動きを読み誤る | 発注量の精緻化、小ロット発注の検討 |
| 過剰在庫 | 安いからとまとめ買いをしすぎる | 保管コスト・劣化リスクを含めた「実質コスト」で判断 |
| 使用ロス | 調理工程での歩留まりが悪い | 下処理済み食材・カット野菜の活用も検討 |
廃棄量を記録し、どの品目でロスが発生しているかを見える化することが改善の起点になります。
ステップ3:仕入先ごとの単価と条件を「横比較」する
同じ食材でも、仕入先によって単価・配送条件・最低発注ロットは異なります。長年同じ仕入先を使っている場合、知らないうちに市場相場から乖離した価格で仕入れ続けているケースがあります。
複数の仕入先から見積もりを取り、以下の項目を横並びで比較することで、見直しの余地を見つけやすくなります。
| 比較項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 単価 | 同品目・同規格での価格差 |
| 配送条件 | 最低発注量、配送頻度、エリア対応 |
| 品質・規格 | 同じ「鶏もも」でも産地・サイズ・歩留まりが異なる |
| 支払条件 | 締め日・支払サイクルがキャッシュフローに影響 |
| 欠品対応 | 欠品時の代替提案スピード |
単価だけでなく、物流費・事務工数・品質バラツキを含めた「トータルコスト」で比較することが重要です。
ステップ4:発注品目の「整理・集約」を行う
長年営業を続けていると、使用頻度の低い食材が増えていたり、類似品目を複数の仕入先から重複して取り寄せていたりするケースがあります。
品目の棚卸しを行い、以下の観点で整理することで、発注の効率化と仕入れ交渉力の向上を同時に狙えます。
- 使用頻度の低い品目の削減または代替化: メニューの整理・改訂とあわせて行うと効果的
- 類似品目の集約: 「A社の○○」と「B社の△△」を統一し、発注先を絞る
- 下処理済み食材・カット野菜の活用検討: 人件費削減とロス削減を同時に狙える
品目を集約することで、特定仕入先への発注量が増え、価格交渉の余地が生まれます。
ステップ5:仕入先との「定期的な条件見直し」を習慣化する
仕入れ条件は、契約時に決めたら終わりではありません。食材の市場価格は季節・需給・為替によって変動します。定期的に仕入先と条件を見直す機会を持つことが、中長期的なフードコスト管理に直結します。
| 見直しの頻度の目安 | 対象 |
|---|---|
| 毎月 | 価格変動の大きい生鮮食材(野菜・魚介) |
| 四半期ごと | 乳製品・畜産物・穀物系 |
| 年1回以上 | 調味料・乾物・消耗品類 |
見直しの際は、仕入れ実績データ(月別発注量・金額)を手元に用意しておくと交渉の根拠として機能します。取引量が増えている品目は、単価引き下げや優先供給の交渉材料になります。
まとめ:「仕入れを整える」ことはFLコスト改善の近道
人件費の削減には限界があり、また働き方改革の観点からも単純なカットは難しくなっています。だからこそ、フードコストを「見える化→ロス削減→仕入れ最適化」という流れで改善することが、FLコスト全体を引き下げるための現実的なアプローチです。
ひかり産業では、外食店舗向けに食材・包材・消耗品の一括調達サービスを提供しています。現在の仕入れ体制を見直したい、コスト比較をしてみたいという方は、お気軽にご相談ください。


