「仕入先は多いほうが価格競争が生まれてコストを抑えられる」。そう考えている調達担当者は少なくありません。しかし実際には、仕入先を増やすことで原材料費以外のコストが膨らみ、トータルの調達コストが上がってしまうケースが多く見られます。
この記事では、仕入先の分散がコスト増につながるメカニズムを整理したうえで、外食チェーンが調達を一元化することで原価を下げられる理由を、物流・発注業務・価格交渉の3つの視点から解説します。
「仕入先が多い=コストが下がる」は本当か
仕入先を複数持つことには、価格の比較や供給リスクの分散という合理的な側面があります。一方で、仕入先の数が増えるほど「見えないコスト」も増えていくという現実があります。
外食チェーンの調達コストは、食材や資材の「単価」だけでは構成されていません。発注・検品・支払いにかかる事務工数、複数業者への個別配送に伴う物流費、そして担当者の管理負荷も含めて初めて「調達の総コスト」が見えてきます。
仕入先ごとに異なる発注フォーマット、納品サイクル、請求タイミングを管理するには、それだけ人手と時間がかかります。規模が拡大して店舗数が増えるほど、この管理コストは比例以上に膨らんでいく傾向があります。
仕入先の分散がコストを押し上げる3つの理由
理由1:物流費が重複する
仕入先ごとに配送便が分かれると、1つの店舗に1日で複数のトラックが来ることになります。冷凍食材はA社、生鮮はB社、包材はC社──というケースでは、それぞれの配送費が個別に発生します。
配送コストは「量をまとめるほど単価が下がる」構造を持っています。仕入先が分散していると、各社の配送ロットが小さくなり、一件あたりの物流費が割高になりやすいのです。
近年は2024年問題(ドライバーの労働時間規制)の影響で物流コストが上昇傾向にあります。受け取り回数が多いほど、その影響を正面から受けてしまいます。
理由2:発注・事務工数が積み上がる
仕入先が10社あれば、発注作業も10社分です。各社の注文締め時間、最低発注量、支払条件はそれぞれ異なります。担当者はそれらを把握しながら、毎日・毎週の発注業務をこなさなければなりません。
特に多店舗展開するチェーンでは、各店舗の在庫状況を本部がまとめて把握しながら発注するケースも多く、仕入先が増えるほど集計・確認・発注の手順が複雑になります。
この事務工数の増大は、人件費という形でじわじわとコストに影響します。担当者が発注管理に時間を取られ、価格交渉や新商品の探索といった付加価値の高い業務に手が回らなくなるという問題も生まれます。
理由3:スケールメリットが分散する
まとまった量を1社に発注することで得られる価格交渉力(スケールメリット)は、仕入先を分散させると各社への発注量が小さくなるため、十分に機能しません。
特に食材コストが高騰している現在、「量を束ねる力」は価格交渉の最大の武器のひとつです。複数の仕入先に同種の食材を分散発注していると、それぞれとの交渉力が弱まり、結果的に単価が高止まりするケースが少なくありません。
調達を一元化するとコストが下がるしくみ
物流の集約で配送費が下がる
食材・包材・消耗品を一括して1社に発注し、まとめて届けてもらう体制を作ると、配送便の本数が減ります。受け取り回数が少なくなれば、そのぶん店舗スタッフの受け取り対応の手間も減らせます。
理想的には、冷凍・チルド・常温の食材を1回の配送で届けられる「3温度帯同時配送」に対応した体制を持つ仕入先にまとめると、物流費の削減効果が最大化されます。
発注の一本化で事務工数が減る
発注先が1社(またはごく少数)にまとまると、発注フォーマットや締め時間が統一され、事務作業が大幅に簡素化されます。WEB上で全品目を一括発注できる仕組みがあれば、さらに効率が高まります。
事務工数の削減は、人件費の直接的な削減につながるだけでなく、担当者が本来注力すべき業務(メニュー開発、コスト分析、新商品探索など)に時間を使えるようになるという副次的なメリットも生みます。
発注量の集中で価格交渉力が上がる
複数品目の発注を一社に集中させると、取引規模が大きくなります。取引規模が大きくなれば、仕入先との価格交渉における交渉力が高まり、単価の見直しや優先供給などの条件を引き出しやすくなります。
また、スケールメリットを持った流通・卸業者が中間に入ることで、メーカーからの一括仕入れコストを間接的に享受できるケースもあります。
仕入先分散 vs 調達一元化:コスト項目別の比較
| コスト項目 | 仕入先を分散させた場合 | 調達を一元化した場合 |
|---|---|---|
| 物流費 | 複数の配送便が重複し、コストが増加 | 配送を集約し、物流費を削減できる |
| 発注・事務工数 | 仕入先ごとに手続きが異なり、担当者の負担が増大 | 発注先が統一され、事務作業が大幅に簡素化される |
| 価格交渉力 | 発注量が分散して交渉力が弱まり、単価が高止まりしやすい | 発注量が集中し、単価や優先供給の条件を引き出しやすくなる |
一元化を検討する前に確認したい3つのポイント
調達の一元化には、コスト削減以外にもリスクがあります。実際に進める前に、以下の点を確認しておくことをおすすめします。
1. 取扱品目の網羅性
一元化先が、現在発注しているすべての品目(食材・包材・消耗品など)を扱えるかどうかを確認します。一部の品目が対応できない場合、追加の仕入先が必要になり、一元化の効果が薄まります。
2. 供給安定性と全国配送対応
多店舗展開するチェーンにとって、全国どの店舗にも安定して届けられるかは必須条件です。特定エリアにしか対応できない仕入先では、一元化後に供給が不安定になるリスクがあります。北海道から沖縄まで対応できる配送ネットワークを持っているかを確認します。
3. 緊急時の対応力
欠品・急な品目変更・新メニュー導入など、予期しない事態への対応スピードも重要です。規模が大きい仕入先ほど小回りが利かないケースもあるため、実際の対応体制を事前に確認しておくことが大切です。
まとめ:「安く買う」よりも「賢く調達する」発想へ
食材の単価を1円でも安くすることに注力する前に、調達全体のしくみを見直すことで、より大きなコスト削減効果が得られる場合があります。仕入先の分散によって積み上がっていた物流費・事務工数・価格交渉力の損失を、一元化によって回収していくアプローチです。
ひかり産業では、食材・包材・消耗品の一括調達と全国配送を一社でまとめて対応するサービスを提供しています。現在の調達体制に課題を感じている外食チェーンの担当者の方は、まずはお気軽にご相談ください。


