物価高が続くなか、家計の負担軽減策として「飲食料品の消費税」の引き下げが決まりました。2026年8月に政府が方針を閣議決定し、2027年4月から飲食料品の税率を1%へ下げる予定です。一方で、飲食店の店内で食べる「外食」は引き下げの対象外で、10%のまま据え置かれる見通しです。

つまり、同じ食品でも「持ち帰るか、店内で食べるか」で税率の差がこれまでより大きくなります。この差は、消費者がどこで食品を買い、どこで食べるかという行動に影響しうるテーマです。そして消費行動が変われば、食品を包む容器や包装資材の需要・役割にも変化が生じる可能性があります。

この記事では、今回の消費税引き下げの内容を整理したうえで、外食・中食市場への影響と、そこから派生する「食品包材」への影響を、仕入れ・商品企画の担当者の視点でまとめます。

何が決まったのか——飲食料品は1%、外食は対象外

政府は2026年8月5日、飲食料品にかかる消費税率を2027年4月1日から2年間、現行の8%から1%へ引き下げる方針を閣議決定しました。消費税率が下がるのは、1989年の導入以来はじめてのことです。あわせて、中低所得の勤労者に1%相当分を給付する「給付付き税額控除」を組み合わせ、飲食料品にかかる負担を実質的にゼロに近づける設計とされています。

ここで注意したいのが、対象範囲です。2019年に軽減税率が始まったときから、飲食店での「外食」は軽減税率の対象外とされてきました。今回の引き下げでもこの扱いは変わらず、店内飲食は標準税率の10%が続く見通しです。一方、スーパーやコンビニ、専門店で買う弁当・惣菜などの「持ち帰り(中食)」や、宅配は軽減税率の対象なので、税率は1%になる方向で議論が進んでいます。

なお、関連法案は2026年秋の臨時国会での審議が見込まれており、対象品目の細かい線引きなど、制度の詳細はこれから固まっていきます。現時点では「方針が固まった段階」と理解しておくのが実務的です。

買い方・食べ方 現行の税率 引き下げ後の見通し
家庭で使う食材(スーパー等) 8% 1%
弁当・惣菜の持ち帰り(中食) 8% 1%
デリバリー・宅配 8% 1%
飲食店の店内飲食(外食) 10% 10%(据え置き)

※上表は2026年8月の閣議決定時点の方針にもとづく整理です。法案審議の過程で変わる可能性があります。

税率の差は、消費行動をどう動かしうるか

食品の市場は、大きく「内食」「中食」「外食」の3つに分けて考えられます。家庭で食材を調理するのが内食、スーパーやコンビニ、専門店で弁当や惣菜を買うのが中食、飲食店で食事をするのが外食です。

これまで、中食(8%)と外食(10%)の税率差は2ポイントでした。引き下げ後は、中食が1%、外食が10%となり、差は9ポイントに広がります。同じような食事内容でも、持ち帰りのほうが相対的に割安に見える場面が増えることになります。

すでに食品価格の上昇や生活コストの増加で、消費者の節約志向は高まっています。そこに税率差が加わると、外食を控えて中食・テイクアウト・内食に振り向ける動きが強まる、という見方ができます。もっとも、外食には「その場で食べられる」「空間を利用できる」といった価格以外の価値もあります。すべての需要が中食に流れるわけではなく、「一部の需要が動く」という前提で備えるのが現実的です。

事業者側でも、店内価格とテイクアウト価格の見せ方や価格設定の見直し、テイクアウト・デリバリー対応の強化といった動きが出てくると考えられます。飲食店の仕入れ・企画の担当者にとっては、「持ち帰り需要が増えたときに、商品と資材をどう供給するか」を先に描いておくことが重要になります。

中食・テイクアウトが動くと、食品包材の需要はどう変わるか

中食やテイクアウトの商品には、ほぼ必ず「包むもの」が必要です。弁当容器、惣菜容器、食品トレー、フードパック、スープ用の容器、カトラリー、割り箸、おしぼり、手提げ袋——こうした食品包材・包装資材は、普段はあまり意識されませんが、品質を守って安全に届けるために欠かせません。

持ち帰り需要が増えると、単に「使う数量が増える」だけではありません。店内提供では不要だった容器が、メニューの数だけ必要になります。温かいもの・冷たいもの・汁物・揚げ物で求められる機能が違うため、容器の種類(品目数)も増えます。品目が増えれば、発注業務、保管スペース、在庫管理、店舗での仕分け作業にも負荷がかかります。

想定される変化 仕入れ・在庫面で出てくる論点
使用数量の増加 発注ロット・配送頻度の見直し、欠品リスクへの備え
容器の種類(品目数)の増加 保管スペースの確保、在庫管理の煩雑化、店舗ごとのばらつき
メニュー特性への対応 耐熱・耐油・密閉など機能要件の整理、容器の統一・標準化
環境対応への要請 素材の切り替え検討、表示・分別方法の整理

需要増の裏側——「包材コスト」という論点

食品事業者にとって、包材を取り巻く問題は需要だけではありません。包装資材そのものが値上がり傾向にあります。原油価格の上昇に伴う樹脂や紙の原料コスト、エネルギー費、物流費、人件費の上昇が、資材価格に反映され続けているためです。

だからこそ重要になるのが「包材の見直し」です。単純に1個あたりの単価を比べるだけでなく、次のような視点で棚卸しすることが、原価改善につながります。

見直しの視点 確認するポイント
必要性 その商品に本当にその容器が必要か。過剰な仕様になっていないか
機能とコストのバランス 同等の機能を保ちながら、単価を下げられる選択肢はないか
統一・標準化 複数店舗・複数メニューで使う資材を共通化できないか
発注・在庫 発注単位や在庫量は適正か。保管の負担が大きくなっていないか
物流まで含めた総額 単価だけでなく、配送も含めたトータルコストで下げられないか

食品包材は、「安いものを仕入れればよい」という時代から、調達・物流・在庫・店舗オペレーションまで含めて最適化する対象へと変わりつつあります。持ち帰り需要が伸びる局面ほど、この見直しの効果は大きくなる傾向があります。

もう一つの圧力——環境対応包材

食品包材を考えるうえで、環境対応も避けて通れないテーマです。農林水産省は、プラスチック製の食品容器包装が国内のプラスチック製品消費の4分の1超を占めるとしており、官民合同の「食品分野におけるプラスチック容器包装資源循環タスクフォース」を設置しています。2026年6月には中間とりまとめが公表され、再生プラスチックの活用に向けた課題として、供給量の安定的な確保、食品衛生基準を満たしつつ品質を保持する容器包装の確保、企業が許容できるコスト水準であること、の3点が挙げられました。

国際的にも、プラスチック汚染に関する条約交渉や、EUで再生材の利用を製品要件とする動きなど、規制強化の流れがあります。再生プラスチック、再生PET、バイオマス素材、紙製容器、モノマテリアル(単一素材化)といった選択肢への関心は、今後さらに高まると考えられます。

ただし、環境対応包材は「プラスチックを紙に変えればよい」という単純な話ではありません。食品容器には、耐熱性、耐油性、保存性、強度、密閉性、輸送効率など多くの機能が求められます。加えて、コスト、店舗での使いやすさ、廃棄・分別のしやすさまで考える必要があります。これからの食品包材には、コスト・機能・物流・環境を合わせて判断する総合的な視点が求められます。

まとめ:食品包材を「消耗品」から「経営資源」へ

弁当容器一つ、手提げ袋一枚は、単体では小さなコストに見えます。しかし、多店舗を展開する飲食チェーンや食品企業では、その積み重ねが年間では大きな金額になります。容器の種類が増えれば、発注業務、保管スペース、在庫管理、物流、店舗作業にも影響します。

飲食料品の消費税引き下げ、物価高、人件費や物流費の上昇、環境対応——食品業界を取り巻く環境が同時に変化するなかで、食品包材にも新しい役割が求められています。出店計画や商品計画と合わせて、資材の調達・管理の仕組みを早い段階で見直しておくことが、需要の変化に対応しやすくする備えになります。

よくある質問

Q. 飲食料品の消費税1%は、外食にも適用されますか。
2026年8月の閣議決定時点の方針では、飲食店での店内飲食(外食)は対象外で、10%のまま据え置かれる見通しです。持ち帰りや宅配は軽減税率の対象のため、1%になる方向で議論が進んでいます。ただし関連法案の審議はこれからで、詳細は変わる可能性があります。

Q. 食料品の減税で、食品包材の需要は増えますか。
税率だけで需要が決まるわけではありません。しかし、内食・中食・外食の比率や、テイクアウト・惣菜・弁当の利用のされ方が変われば、使われる食品容器・包装資材の数量や種類にも影響する可能性があります。

Q. 食品包材のコストを下げるには、どんな方法がありますか。
容器そのものの単価だけでなく、資材の共通化、発注ロット、在庫量、物流、店舗での作業までを合わせて見直すことが有効とされています。単価比較だけで判断しないことがポイントです。

Q. 環境対応包材への切り替えは、今すぐ必要ですか。
国内外で資源循環に向けた動きは強まっていますが、食品用途では安全性・保存性・耐熱性・コストなども考慮する必要があります。企業ごと、商品ごとに適した選択が異なるため、影響の小さい範囲から検証していく方法が現実的です。

ひかり産業は、包装資材のメーカーであり、食材の卸であり、物流会社でもあります。食品包材・資材の企画・製造から、仕入れ・物流のワンストップ支援まで、食品を取り巻く変化に合わせた資材の見直しと安定供給をまとめてご相談いただけます。「持ち帰り需要が増えたときの容器を検討したい」「複数店舗の資材を統一してコストを下げたい」という段階でも、お気軽にお声がけください。